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「七週目ですね」
その言葉を聞いた瞬間、私は一瞬にして天にも宇宙にも昇れる気持ちになった。
ウキウキとスキップしたい気持ちだけど、お腹にいる赤ちゃんを思ってそろそろとゆっくり歩いて帰る。
マンションに戻って、夕飯の支度をして、旦那様の帰りを待っていると玄関の開く音。
私は身体を跳ねさせるとリビングの扉を開けた。
「冬吾くん、冬吾くん!」
玄関で靴を脱ぐ彼に早歩きで近寄ると、彼は驚きながらも優しく微笑んでくれる。
「何、春奈?やけに嬉しそうだけど何かあった?」
全面に笑みを押し出している時点でそう聞かれるとわかっていながらも、いざ口にするとなるともごもごしてしまう。
もじもじする私を前に外から夏の暑さを纏ってきている彼は嫌な顔をすることなく待ってくれる。
「あ、赤ちゃんがね、できたの!」
自分で言うとさらに現実として実感して、キャーっと叫びたくなる。
だって、だって、待望の妊娠なのだ。
しかも、こんな早くに。
私の体質上、生理の周期が不安定だから、余計に早く妊娠できたことがもう嬉しくて仕方なかった。
はしゃぐ私を前に冬吾くんは驚いた表情から一瞬、ふわっと笑みを浮かべかけたけど、すぐに顔色を陰らせた。
「そう……」
視線を外してぽつりと呟く様に、テンションマックスだった私も唖然として立ち尽くした。
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