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「というわけなの!どう思う、これ!?」
私はテーブルをドンッと叩いた。
昨日あった出来事を話すと彩夏と真琴ちゃんが「うーん」と唸る。
今日は、彩夏が出す店の準備を手伝いにきている。
元々は私がやっていた店を彩夏が自分の店にして始めるのだ。
まだリフォーム業者は入っていないけど、家具とか食器類とかインテリアとかを選んだり、今日はメニューの意見を聞きたいと真琴ちゃんと二人で彩夏の考えた料理を批評している。
小料理屋だったそこが少しずつなくなっていくのは寂しいような、でも新しいものにわくわくさせられるような複雑な心境だ。
「緒方さんも疲れてたんじゃないの?」
彩夏がクリームチーズとサーモンのベーグルサンドをテーブルに置きながら言う。
確かに、冬吾くんは忙しい。
忙しいけど!!
「それにしてもあの素っ気なさ!嬉しくないみたいな!信じられないわ!」
「春奈さん落ち着いて。お腹の子によくないですよ」
「あ、そ、そうね」
真琴ちゃんに宥められて、はっと我に返る。
これだけ怒っていては心音が聞こえたばかりの我が子に悪影響だ。
静かになった私に真琴ちゃんは甘い香りがするアップルティーを注いでくれる。
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