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「緒方?」
呆然と見入っていた俺を朝比奈が訝しげに呼んだ。
「あ、ごめんっ」
覗き見がバレたらまずいと俺は勢いよく彼女から顔を逸らすとそそくさと玄関の中に入った。
広い玄関に靴を揃えて脱いだところで、奥からぴょこっと二つ小さな影が現れた。
「おにーちゃん、おかえりなさい」
「おかえりなさーい」
そう言って、朝比奈の両足に飛びついてくる。
見たところ、まだ幼稚園くらいの男の子と女の子。
「ただいま」
朝比奈は普段見せない優しい笑顔で二人の頭を撫でた。
「兄弟?」
「ああ、双子なんだ」
「へぇ」
随分年の離れた兄弟がいるんだな。
それに双子のわりに体格差があるというか、男の子に比べて女の子は特に小柄だ。
年齢もわからないし、俺は兄弟がいないからどちらの成長が一般的なのかもわからない。
だけど、今はそれはともかく。
「……なぁ、兄弟もう一人いる?」
「ああ。二つ上に姉が。同じ高校にいるけど、なんで?」
「いや、たまたまさっき窓を開けてるところ見たから」
「ああ、風邪を引いて休んでるんだ。と言ってももう治ってるから、今日のは実質的にズル休みだな」
「ふーん」
呆れ顔の朝比奈に相槌を打ちながら、さっきの人のことを思い出す。
お姉さんか。
朝比奈とはそこまで似てないけど、清廉された雰囲気が姉弟ともに備わっている。
ものの数秒しか見れなかったが、美人だった。
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