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「ミハエル、どうして……?! 」
彼は
「僕達のお腹の赤ちゃんを
無事に出産する為には
【環境の力】が必要なんだ」
な、何を言ってるの?
私は彼に反論したかったが
陣痛が苦しくなり、その場で
体を動かす事が出来なくなった。
ピンク色の水が
両足の間から
パシャッと出た。
は、破水……!!
白衣を着た男達が出てきて
私を分娩室に運んだ。
そのまま着替えて分娩台には
支えられながら上る。
分娩台に乗ると
体に見た事が無い機械を
いくつか付けられた。
陣痛の間隔が狭くなる……
苦しい。
「レーナ、息め。息むんだ」
分娩室に私のベビーの
産声が響いた。
おんわああ……おんわあああ……
「女の子です」
私は産まれた
女の赤ちゃんを見せてもらった。
小さくて可愛い……。
ーー!!
3つ目に銀髪……。
私は医師免許が
ある。3つ目の
赤ちゃんは日本でも
昭和から珍しい現象では
無いが……生まれて直ぐに
死亡する筈。
でもこの子は生きている。
生きている。
髪は銀髪……3つ目の瞳の色は
目を開けてからのお楽しみ。
産湯に浸かり
綺麗になって私の胸に
赤ちゃんが戻ってきた。
開かれた瞳は真っ青な
スカイブルーカラー。
医師が拍手をしながら
「おめでとうございます。
これぞ、新しい人類の誕生です」
「新しい人類? 」
「赤ちゃんはこちらで
お預かりします」
白衣の男の腕が伸びてきた。
私はそれをかわした。
「嫌!! 」
赤ちゃんを抱きしめて
私は叫んだ。
「この子は誰にも渡さない!! 」
そこに1人の白衣を着た
東洋人が入ってきた。
「私は山口と申します。
どうか……赤ちゃんにとって
安全な場所で生活されたほうが
良いと思います」
「嫌。私のベビーよ。
誰にも渡さないわ……」
私は小さな赤ちゃんを
抱き締めながら泣き叫んだ。
「では体が回復したら
お家に帰りましょう。ただし……」
私は自分の子供を
誰にも渡す気はなかった。
ミスター山口の条件と提示された
約束を守りながら家族3人で
生活する事を選んだ。
女の子だから名前は……
「エリザベス」
と、呼ぶと私のベビーは
小さな手で私の右手の人差し指を
握ってくれた。
とっても小さな手で
一生懸命に握ってくれた。
なんて愛しい……。
私は母親としてこの子を守る事を
決意した瞬間だった。
ねぇ、私のエリザベス。
ママは絶対に貴女を離さないわ。
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