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夜の静けさの中に
体に伝わる揺れる地響きと
"ゴゴゴッ"と何かが音を
立てて近付いてきた。
凄まじい轟音とともに
地面が振動した。
それが全身と耳を直撃する。
真夜中に私もパパもママも
目が覚めた。
パパは飛び起きて外に
出る準備を始めていた。
「ママ、眠いよぉ」
と、訴えたが私は素早く
ママに抱き上げられて
一緒に窓の外を見る。
真っ暗でよく見えないが
戦車のように大きな
車が走って此方に近付いてきた。
「レーナ、私達の娘を
頼む。この子は人類の
希望となるんだ」
「ええ、私達の希望は
何としても守るわ!! 」
パパに答えたママは
急いで私を抱いて
地下の隠し部屋の扉を
開けて中に入った。
パパは地上に残る。
扉を閉める直前に
「エリザベス、
パパは大丈夫だから」
と私に言ったあとに
ママはパパにキスをして
私と地下の隠れ部屋に
入る為に扉を閉めた。
「エリー、暫く静かに!! 」
瞳を閉じたら地上での映像が
何故だかリアルに私の頭に
送らる……
戦車のような大きな車が
私の家の前で止まる。
車から数人降りてきた。
いきなり全身、黒い服を
着て顔には覆面を被った
複数の男達が大地をドカドカと
踏み鳴らし、マシンガン
を持って我が家に入ろうと……
それをパパが
止めた瞬間
1人の黒ずくめの男が
マシンガンを構えた。
パラパラパラパラ……
と銃弾の音と共に
弾丸が飛び跳ねる。
パパの体が揺れる。
「うわあああああ!!」
パパの叫び声がした。
パパの血液が床一面に流れて
それがジワジワと広がる。
パパが床に倒れ込む!!
「パパーッ」
私が叫ぶとママに
口を押さえられて
強く抱きしめられた。
小さな声で
ママが私に囁く……
「エリー、叫ばないで!! 」
頷くとママは私の口から
手を離してくれた。
私は小さな声でママに
恐る恐る聞いた。
「ママ、パパはどうしたの?」
「エリー、安全な所に
二人で逃げましょう」
と言いながらママは携帯電話を
出して誰かに連絡をした。
「ハロー、ミスター山口……
助けて下さい」
ハッーー。
目覚めたら
いつもの部屋だった。
ミスター山口が
用意してくれた私の為の
部屋のベッドの中だった。
今の夢は
過去の私の記憶。
パパは
どうなったの?
そうだーー
確か暫くしてから
また銃撃戦が始まり、
静かになってから
携帯が鳴りママは
それを取った。
電話の主を確認して
ママが地上への
扉を開いた。
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