少年法

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今日お母さんが、二回目の面会に来てくれた。 「光、元気?」 「辛くない?」 テーブルを挟んで、ジャージ姿でパイプ椅子に座る僕を見て、涙を浮かべている。 僕は、黙ってお母さんを見ていた。 「お父さんね、昨日やっと意識が戻ったから」 「まだまだ、退院には日にち掛かるみたいだけど」 僕は、それを聞いて 「死ななかったのか、次は絶対殺す!」 お母さんは、慌てて 「光、何言ってるの?」 「殺すだなんて!」 「次は、刑務所よ!」 そう、僕は今【少年鑑別所】の中に居る。 2週間程前に、親父を金属バットで滅多打ちにして。 殺すつもりだった。 なのに、まだ生きているとは! そう、あの日も親父は酒を飲み、何かブツブツ言っていた。 お母さんは 「もう、それ位にしたら?」 「ホントに体壊すわよ!」 すると、親父は 「うるさい!」 「何か無いんか!」 お母さんが、黙ってると 「ツマミ無いんか聞いてんや!」 そう言って、お母さんに後ろから、思いっきり蹴りを入れた。
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