第1章 共有する力

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止めとばかりに振るわれた木刀が動きを止める。いつの間にかドレスの少女は剣を持っていた。弾いた筈の剣は未だに二メートル離れた地面に転がっている。ならば少女の周りに浮いていた剣の1振りだろうか?思考を端に寄せながら相手の剣を捌いていく。が雅は既に息が切れている。長期戦は不可能だ。焦った雅は再びあの貫通力の高い突きを放った。が少女は動かない。どころかわずかに見える口元に笑みを映していたそして、右手に握る剣を後ろに引く。まるで矢をつがえるが如く。雅の木刀が眼前に迫った。少女は最低限の動きでそれを避け、矢ー剣ーを放つ。 「『光燕』」 初めて聞く少女の声は何処かでいや、毎日聞いているような気がした。不意に放たれた突きに驚きはしたもののバックステップを屈指、下がる。射程外に入ったと安堵した瞬間。腹部に重い衝撃が走った。意識が薄れる。視界の端に光る燕を捉えた。それは少女の持つ剣から放たれた様に見えた。何とか意識を保とうとするが無駄な努力に終わり、雅の意識は完全に沈むのだった。
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