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『終着~終着~お降りの方は荷物をご確認の上、下車してください。』
車内アナウンスが鳴った。少年は自分の荷物(キャリーバッグ)を持つ。ドアが開くと同時に外に出た。涼しい風が頬を撫で、自然と口許が綻びる。少年はキョロキョロと辺りを見渡すと西に駆けた。
「初めまして、叔父さん。」
まだ声変わりもしていない声で少年は30代位の男に話しかけた。男は少年を見やると軽く頷き手を差し出した。
「初めましてだな。秋。俺は
大宮 士郎ーおおみや しろうー。って兄さんから聞いてるか。」
秋「はい。これからお世話になります。」
士郎「にしても変わってるな。お前、もっといい高校に行けたんじゃねぇか?兄さんが『天才だ』って自慢してたぞ?」
秋「僕は元々天津高校を受けようと思ってました。だからいいんです。」
士郎「そっか。わかった。じゃあ家に帰るぞ。星夏ーせなーも待ってるしな。」
秋「娘さんですか?」
士郎「ああ。ま、妻は既に他界しちまって男手一つで育てたから些か不安ではあるがな。いい子だぞ。」
秋「楽しみです。」
士郎「ああ。星夏も『お兄ちゃんが出来た』って喜んでたしな。ほら、車に乗れ。」
秋と士郎は青い車に乗り、帰路に着いた。
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