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資料室~
二人は手近にあった机に資料を降ろした。資料室の中は電球が切れているのか全く光が無く暗かった。互いの顔も見えないくらいに。
「ふむ。済まなかったな。君は新入生かい?」
秋「そうです。」
「そうか。助かったよ。それにしても君は力強いな。それ・・・。」
秋は左腕にくすぐったい感触を覚えた。
次に何か艶かしい動きも自然と動悸が激しくなった。
秋「あ、あの先輩?」
秋が呼び掛けるとえらく恍惚とした声音の声が返ってきた。
「ん。肉付きもいい。細いな。きっと君の肌は白いのだろうなぁ。」
腕にあった感触がどんどん下に下がってくる。秋の心臓は早鐘よりも早く鳴っていた。
秋「あ、あの!先輩!お、お名前は何でしょうか?」
秋は何とか後ろに下がり恐らく少女の手だと推測した物から離れた。少女は表情こそ分からないが声音からして不満そうに「むぅ。」と唸っていた。
「私か?私は夜蝶学園生徒会会長、
白刃 雅ーしらは みやびーだ。よろしく頼む。君の名は?」
秋「あ、繋夢 秋です。」
「そうか、秋ちゃんか。ふふふ。」
艶やかな笑い声を上げる雅になった。たじたじとしながらも何か違和感を感じていた。
秋(ちゃん?)
もしやと思うが目の前の先輩は自分の事を女だと思っているのか?嫌な予感が胸を過ぎる。
秋「あ、あの。」
秋が誤解を解こうと話しかけた瞬間資料室に光が灯った。
雅「んむ?どうやら接触が悪かっただけのようだな。これで君の顔が見え・・・。」
嫌な汗が吹き出た。少女の顔が強張っている。さっきの行動からして彼女は確実に同性愛者だろう。男の自分に対して暴力的なアクションは予測できる。が、
何故だろうか。さっきの予感より明確な何かを感じた。殺意にも似た何か。
秋の体は反射的に少女から離れていた。
その直後。少女の周りを鋭い細剣が数本取り囲んでいた。
秋「な?!」
雅「男が・・・。」
ゆらりと緩やかな動きで彼女は秋の方へ近づく。剣の切っ先が秋の方へ向く。
雅「男が私に近寄るな。」
ドスの効いた低い声で雅は言い放った。と同時に雅を守るように囲んでいた
剣達が一斉に秋に襲い掛かる。秋は急いで資料室から出ると自分の教室へと走って逃げた。
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