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「あなたの幸せを祈らせて下さい」
見知らぬ女性にそう声を掛けられたのは、小2の学校帰り。
幼馴染のせっちゃんと、牛蛙で砲丸投げをしていた時の事だった。
手から七色の光が出ると云うその女性は、僕の額に手をかざして一心不乱に祈ってた。
「光、出てなかったね」
女性が去った後、せっちゃんがポツリと言った。
家で留守番していて、教会の布教の人に延々と神の導きを説かれたのは中一の時。
高校に入ってから初めてできた彼女には、誘われて行ったカフェで、新興宗教について熱心に勧誘された。
しかも教団の人まで途中参加して、3~4人に囲まれサラウンド状態で布教される羽目に。
上京した大学では、入部したサークルがカルト教団まがいの集まりだった。
そして今。
「だからね、アナタの為にもこの神聖な水を買うべきだと思うのよ」
入社してすぐ。
直属の上司に呑みに誘われたハズが、何故か怪しげな水を売られそうになっている。
なんなんだ、僕の人生は。
そしていつも、僕が取る解決策。
「もしもしせっちゃん?」
せっちゃんに、SOSを送るのだった。
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