ホンノウ

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少々高い店でもいい。 こんないい女と酒を飲めるなら。 そんな感じだったかな… 酔っててよく覚えてない。 連れて行かれたのはすぐ側にあった雑居ビル。 もう随分と昔からある、飲み屋が詰まったプレジャービル。 そこの二階の小さな店だった。 カウンターとボックス席が一つあるだけの… 入ってから思った。 ぼったくりか? だけど。 美味しい酒を飲んで愉しい話。 美しい女は俺の隣で笑って… 「ここは私が…」 そう言って金さえ受け取らなかった。 もしかして俺のこと… イヤ、 そんなはずはない。 ここの所、 さっぱり女には縁がない。 嫁にすらだ。 次にまた来いっていう事か… 俺はそう解釈して店を出た。 店を出て見上げると、 店の看板の電気は消えてて、 閉店の時間だったのか…なんて、 納得した。 「このあと… 部屋で飲み直しません…?」 信じられない。 送って出てきてくれたものだと思ったのに、 女は俺を誘ってる。 これは何かのトラップか? いわゆる、 ハニーとラップというヤツ。 一瞬、 考えた…
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