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ナレーション「そしてこのバトルを目にしたことにより、俺は人生のハンドルを大きく切ることになった」
○ガレージフルサワ・外観
古澤「はぁっ!? メックがほしいだぁッ!!」
○ガレージフルサワ内部
解体されたメックの機体や普通の自動車の部品などが雑多に置かれている。
正明「えっ、はい、そうですけど――無理なんすっか?」
古澤「あんっ? 誰が無理なんて言ったよ」
正明「ああっ、いえ、すんません」
正明、頭に手を置き軽く頭を下げる。
古澤、眉をハの字にして、
古澤「……なんだ、おめぇみたいなパッとしねぇ気弱そうなのがメックに乗りたいってか? 時代も変わったな」
正明「あははっ、そうなんっか?」
古澤「ああ、俺らの頃はもっとこう血の気の多そうなやつらが多かったなぁ」
正明「はーっ、なるほど」
古澤「ま、俺の昔話なんて興味ないだろ。それより、おまえが興味あんのはメックの方だよな?」
正明「はい! あっ、でもぉ……」
古澤「でも、なんだ?」
正明「いや、実は俺メックのことあんまりわかないんっすよ。プラモデルのメックはやってたことあるんですけど、あれはだいぶ前のことだし、実物となるとさっぱりで」
古澤「なんだ、ズブの素人なのかよ」
正明「はあ、そうなりますね」
古澤「なんでまたそんな奴が急にメックなんてもんやろうと思ったんだ?」
正明「実は……」
古澤「あーっ、その話はしなくていい! 俺もおめぇの話に興味はねぇよ」
正明「アハハハ」
古澤「でもよ、おめぇさん。ツイてるかもしれねぇぜ?」
正明「どういうことっすか?」
古澤「実はよ、まさに今日メックを売りたいって奴が現れてよ。しかもそれが初心者にはピッタリの機種なんだよ」
正明「マジっすか! それってもう運命じゃないですか!?」
古澤「ああ、そうかもな。メックバトルをやる奴には技術や度胸なんかも必要だが、運も大事だ……これからメックの世界に飛び込もうっておめぇにはまさに幸先のいいスタートになるだろうよ」
正明「うんうん、そんな気がします!」
古澤、正明に顔を近づける。
古澤「だろ? もうこれは買うしかないよな!」
正明「そうっすねぇッ! 買うしかないっすね!」
古澤「おおっ、よく言ったぞおめぇ! それでこそメック乗りの男だぜ!」
古澤、正明の背中をばしばしと叩く。
明美「お客さん、気をつけてね」
と、明美の声。
正明、後ろを振り向くとそこには女子高生。
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