0人が本棚に入れています
本棚に追加
基地の広場、機巧研の兵士たちが集まって整列している。
隊長「今日はこの隊に新しく編入する兵士を紹介する。年齢は若いが、実戦経験豊富な先輩だ」
そう紹介されて結絃が前に立つ。
結絃「御堂結絃だ、よろしく」
颯 「……っ!」
結絃の姿を見てひどく動揺する颯。その理由は颯自身にも解らない。
颯 (な、なんだ、この動悸は。息が、苦しい……!)
颯は、自分が涙を流しているのに気付いた。ますます自分の心の動きを不可解に思う。
隊長「どうした、佐神。様子が変だぞ」
颯 「い、いえ、何でもありません。大丈夫です」
隊長「おいおい、しっかりしろよ。お前はこの御堂とペアを組むんだからな」
颯 「えっ」
隊長「御堂がパイロット、佐神が補助役だ。正式な辞令は後で渡す。
以上、解散だ! 各自訓練に戻れ!」
隊員たちが散り散りになる。颯は唖然として行動が遅れる。
その場に残った結絃と颯の目が合う。結絃の視線は険しい。
颯 「こ、これから一緒にペアを組む佐神颯だ。よろ――」
握手をしようと手を出す。
しかし、結絃は手を取らず訓練シミュレータの方に歩き出す。
結絃「無駄な馴れ合いは不要だ」
可憐な外見に似合わない結絃の態度に驚く颯だった。
最初のコメントを投稿しよう!