第一章

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訓練用シミュレータに搭乗する二人。 颯 「ここ機巧研のシミュレータは最新型で、FS機の挙動をできるだけ再現している上に、敵機の攻撃パターンを65535通りの中から――」 結絃「そんなことは事前に確認済みだ」 颯 「そ、そうか。あ、この機体は初めて全パーツを地球の物質で再現したシミュレータだから、操作しても記憶は――」 結絃「それも知っている。だからこそ機巧研に来たんだ。さっさと訓練するぞ、はやく乗れ」 颯 (とっつきづらい奴だな。こんなんでこのペア大丈夫なのか) シミュレータ訓練開始。モニターに状況が表示される。 颯 「作戦を開始する! 機巧が陣形を整える前に、地形を考慮しつつ右翼に展開!」 結絃「……」 颯 「パイロット! 返事をしてくれ! 作戦は伝わっているか!」 結絃「必要ない」 颯 「何!?」 結絃「作戦は必要ない。私が一人でやれる」 颯 「なっ!」 そう言うと結絃はFS機を急発進させる。その反動と衝撃で、颯は結絃に指示を出せない。 颯 「くっ……! パイロット、こちらの指示を聞け!」 結絃「……」 返事をしない。しかし、圧倒的な実力で、数体の機巧を撃破しシミュレーション訓練をクリアしてしまう。あっという間の出来事だった。『CLEAR』という無機質な文字がシミュレータ画面に映る。
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