5人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
「『何千回もくり返す言葉 消えてく』」
愛だの恋だのに固執なんてしてない。わたしは人を愛するということに怯えるだけの、ただの臆病者だから。
「『縛りあげて 黒く細い黒髪で』」
「『立ちどまると 滲み出すこの景色は 仄明るい鈍色』」
心配されたい、心配されたくない。触れたい、触れたくない。愛したい、愛されたい――そんな矛盾する二つの願望が浅ましい。
「『貴方が居てさえ 急激に失われていく 世界の色』」
孝輔の視線に身を灼(や)かれていく。少しだけ優しく、けれど淋しそうに笑うのが、つらい。
――熱い。
最初のコメントを投稿しよう!