5人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
翌日、いつも通り一番乗りで教室に着いていたわたしは、予想通りの展開にため息をついた。
いいえ、つかずにはいられないわ。こんな……下らないこと。
「ね、聞いた?」
「聞いた聞いた。ひどいよね」
「可愛いと思って調子乗ってんでしょ」
「ほんとサイテー」
そうやって自分より下の人間がいることに安心するのでしょう?
わたしより醜くてけっこうなことね。
(……馬鹿らしい)
所詮女子なんてそんなもの。いいえ、人間なんてそんなものだわ。
「おはよう、水芭!」
その中で一番憎らしいのは……この、わたしに馴れ馴れしく構ってくる前野忠。
こうなったのが誰のせいか、分かっているの?
なんて咎める気を起こすのも面倒で、変わらぬ笑顔を張り付けた。
最初のコメントを投稿しよう!