殺戮の王国

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「この世のものなど、誰の言うことも信じられぬわ。みんなみんな、消えてしまえば良いのだ。」 両親と隔離されて育てられた王様は、愛情を知りません。信じる心も、他人の暖かみも知りません。 そんな王様を優しく宥める一人のメイドがおりました。 古より王家に仕えてきた家柄の、娘でした。幼い頃からお付きのメイドとして王様と共に育った彼女は、王様にとってかけがえのない理解者となりました。彼女はとても素直で明るく、国民の唯一の希望として崇められました。 「王様のお気持ちは私がよく存じ上げております。安心なさってください。王様はおひとりではありません。私はずっと、お側におります。王様のご命令とあらば、人殺しでも何でも致します。この命に変えても、あなた様をお守り致します。」 いつしか二人は恋に落ちてしまいました。そうして愛に狂った王様はある決断を下します。 「君と二人きりで空へ」
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