第1章

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とまぁ、こういう流れである 「あの…、」 「桐崎さんのせいじゃないから気にしないで」 黙々と掃除をしていた裕紀は言った (面倒くさいはずなのに、どうして手伝ってくれるんだろう) 小学生の頃に「おまえが言われたんだからやれよ」と言われて一人でやったことがあった 今回もそう言われるだろうと思っていた 「桐崎さん?」 裕紀がぼーっとしている舞に声をかける 「どうしたの?」 「な、なんでもない」 顔が赤くなるのがわかった 恥ずかしくて下を向き、すぐに床を履きはじめた いきなり声をかけられびっくりして顔が赤くなったのか、裕紀の優しさにドキっとしたのかわからなかった 「桐崎さんはなんで帰るの遅かったの?」 不思議そうに裕紀は聞いた 「えーっと、先生に職員室まで荷物を運んでほしいって頼まれて、それで…」 「荷物運んで掃除までさせられてるの!?桐崎さんこそ帰ってもいいと思うけど」 「大丈夫だよ、それに引き受けちゃったんだから最後までやらないとね」 「桐崎さん優しいんだね」 舞はその一言にどきっとしてしまう (これは落とし文句だ!他の女子にも言っていることだ!) 顔を下に向けて首を横にふりながらそう自分に言い聞かせる 「桐崎さん大丈夫?」 「っ!!」 裕紀の一言に思わず顔を上げる
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