第1章

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「だめだめだめだめだめーーー!!!!」 「…………あ?」 星が瞬く夜空に、それはそれは綺麗な光を放つ満月の夜 あたしの目の前にいるのは…… 自殺志願者 それも、大きなサボテンの鉢植えを頭にくくりつけ、さらに両手にも小ぶりなサボテンを持った…… 自殺志願者 「あの、とりあえず!とりあえず、えっと、あたしだって嫌なこととかたくさんあって!でも、こうしてしぶとく生きてるわけで!!だから、その──」 「何言ってんのアンタ」 橋のど真ん中 手すりに仁王立ちで立っていた彼は、ゆっくりと振り返った 彼のバックには綺麗な満月 影になっていて表情はよく見えないけど、この非常事態にも関わらず、何故かドクンと心臓が跳ねた バイトの帰り道 今日は少しだけ遅くなってしまって足早に家に向かっていた そんな矢先のコレ 車通りも人通りも少ない訳じゃないここで、一体何でこんなこと…… この人、相当追いつめられてるんだ 他の通行人は見て見ぬ振り 『あたしがこの人を助けなきゃ』 そんな正義感が、少しだけ跳ねた鼓動を心の隅に追いやった
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