プロローグ

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7月高校野球石川県大会。 俺は、賢太郎がいない球場のマウンドに立っていた。 歓声が響きわたる。 チームメイトが泣き崩れている。 俺の夏はあっけなく終わった。 正直もう、どうでも良かった。 周りは賢太郎の為にも絶対に甲子園に行こう! なんて言っていたけど、俺にはあいつのいない甲子園なんて行く意味が無かったんだ。 あいつしか、俺の球をうけてくれる奴はいない。 虚しく太陽がジリジリと照りつける。 サイレンが鳴り、俺は静かにマウンドを後にした。 あれから2年… 東京都町田市。 明日は、成人式。 2年振りに地元の石川に帰る。 当時から今まで、野球部のマネージャーを務めていた俺の彼女、夏も一緒に。 「勝ちゃん!」 夏の声で目が覚めた。
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