第1章

10/10
前へ
/10ページ
次へ
白いワンピースは着物に変わっている。 ゆるく巻いていた髪は、明らかに先ほどより長く伸びていた。 ピンクに彩られていた唇は、真っ赤に変わり。 見回した部屋全体が凍り付いていた。 一体何が起きた? さっきの女は? 信じられない出来事を目の当たりにして、思考回路までが凍りつく。 「私、嘘つく人嫌いなの。せっかくだから本当にしましょうね」 赤い唇が弧を描いた。 寒い、寒い、寒い・・・ がちがちと、歯の根が合わなくなる。 だけど、動けない。 女が指で触れたところから、ひとつひとつ感覚が消えていく。 ふふっと、艶めかしい笑いが、降ってくる。 ズボンと一緒にパンツも剥ぎ取られ、局部が露になった。 「これでよし」 もはや縮こまっていたそれを、女が立たせて固定する。 そして、ゆっくりとそこにまたがった・・・ *** ** * 翌朝発見された、凍死体。 「現代の雪女事件」として、あちこちの雑誌に取り上げられたが、未だ犯人は捕まっていない。 なぜなら、入り口の防犯カメラには、男しか映っていなかったから。 警察も、お手上げ状態だった。 ラブホテルの一室。 死体だけが凍りついていた。 一体犯人はどんな手段で、彼を殺害したのか? 殺害方法も、動機も、なにもかも謎のまま、その事件は迷宮入りとなった。             <FIN>
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加