第1章

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「すみません」 背後から声をかけてくる女がいた。 うるせーな、今日はそんな気分じゃねーんだよ。 無視して足を前に進める。 「すみません」 再び声がかけられる。 しつけーな。 文句のひとつでも返そうかと、オレは振り向いた。 「良かった」 こんな夜の街に不似合いな、白いワンピースを着た、清楚な女が佇んで笑いかけた。 ごくりと、つばを飲み込む。 何でこんな女が、オレを呼び止めるんだ? それなりにもてる方だとは思っているが、あまりにも普段接している女たちとタイプが違って戸惑った。 何もいえないでいると、さらに女が話しかけて来る。 「あの、お願いがあるのですが・・・」 新手のキャッチか? 緩んでいた警戒心が顔を出す。
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