第1章

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「ごめんなさい。さっきの会話が聞こえていて・・・」 申し訳なさそうに、一瞬目を伏せたが、すぐに食いつくように持ち上がる。 「一緒に来た人とはぐれてしまって、困ってるんです。駅まで送ってもらえませんか?」 なんだよ、それ。 駅までって、そんなに距離は離れていないのに。 オレの戸惑いを察したように、言葉をつなぐ。 「初めて来たので、わからないんです。ここまでは車だったんですけど・・・」 語尾が小さくなっていく。 大方の予想がついた。 彼氏と一緒にドライブかなんかして、ケンカしたか、トラブルがあったんだろう。 にしても、こんな場所に、女一人放り出すなんて、どんだけ気が短いんだ。 ため息が思わず落ちた。 それを勘違いした女が、慌てて食い下がった。 「他の方にお願いしようと思ったんですけど、皆さんの目つきに耐えられなくて。あなたなら、そんなイヤラシイこと考えないでしょ?」 だって、死んじゃうんでしょ? 見上げた瞳が、そう訴える。
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