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「ごめんなさい。さっきの会話が聞こえていて・・・」
申し訳なさそうに、一瞬目を伏せたが、すぐに食いつくように持ち上がる。
「一緒に来た人とはぐれてしまって、困ってるんです。駅まで送ってもらえませんか?」
なんだよ、それ。
駅までって、そんなに距離は離れていないのに。
オレの戸惑いを察したように、言葉をつなぐ。
「初めて来たので、わからないんです。ここまでは車だったんですけど・・・」
語尾が小さくなっていく。
大方の予想がついた。
彼氏と一緒にドライブかなんかして、ケンカしたか、トラブルがあったんだろう。
にしても、こんな場所に、女一人放り出すなんて、どんだけ気が短いんだ。
ため息が思わず落ちた。
それを勘違いした女が、慌てて食い下がった。
「他の方にお願いしようと思ったんですけど、皆さんの目つきに耐えられなくて。あなたなら、そんなイヤラシイこと考えないでしょ?」
だって、死んじゃうんでしょ?
見上げた瞳が、そう訴える。
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