第1章

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ま、たまには、こんな女を抱いてみるのもいいかもしれない。 ちょっとした悪戯心が湧き上がる。 「駅まででいいの?」 その言葉に、女はうれしそうに笑った。 「送ってくださるのですね! ありがとうございます」 その微笑みは、夜の街に咲いた、ユリの花のようだった。 「こっち。ついて来て」 親指で後ろを示すと、体を反転させる。 本当に土地勘がないのかどうか、確認するために、わざと反対方向に歩き始めた。 ちらりと振り向くと、女は黙って後ろをついてきていた。 キョロキョロと、物珍しそうに店のネオンを眺めている。 「あんまり、こういうところ来ないの?」 服装も、雰囲気も、何もかもがちぐはぐで、彼女だけが浮いている。 「ええ。だから珍しくて・・・」 観察されているのに気づいたのか、下を向いてしまった。
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