第1章

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「それなら、ちょっと寄り道してみない? それとも怖いかな?」 彼女の好奇心に付け込んだ提案。 世間慣れしていない女なんて、簡単だ。 少しだけ、好奇心をくすぐって、プライドを傷つけるようなことを言ってみる。 「こ、怖くなんてありませんわ。どこに入りましょうか?」 よし、乗ってきた。 「ここ、おススメ」 そう言われて、女は建物を見上げた。 「ずいぶん派手ですけど・・・? 何をするところです?」 いぶかしげに、こちらを見る。 「入ってからのお楽しみ」 そして、門をくぐった。 受付に人はいない。 部屋番号を選んで、ボタンを押すだけ。 「ホテル?」 「そ。中にカラオケもあるし、飲み物もあるから。他の人の目を気にしないでゆっくりできるでしょ?」 警戒心を見せながらも、先に進む俺の後を、おとなしく付いてきた。 部屋に入っちまえば、こっちのモンだ。 内心ほくそ笑みながら、ドアを開いた。
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