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「あたしの戦いに口出すんじゃないって、何度言わせれば理解できるのよあんた!」
御堂弓弦の放つ大音声が、食堂を窓をびりびりと揺らした。夕方過ぎにフィリピン沖に出現した敵機を撃墜し、夕食の時間帯の前に帰投したパイロットとサポートユニットは、ちょうど誰も使っていない食堂で戦闘後に恒例の反省会を開催していたのだが。
「っていうか、そもそもあたしが乗るときにサポートユニットなんて必要ないって言ってるでしょ! あんた、サポートユニットのくせに頭の中空っぽなんじゃないの!?」
どこで何を間違えたか。少年は火を噴く機関銃のようによく回る少女の口から矢継ぎ早に飛び出す不平不満罵詈雑言を右から左に受け流しながら、真剣にそんなことを考えていた。いや、そもそも彼は何かを間違えたのだろうか。
「…、あぁ、終わった? それじゃあ、今日の反省から行こうか。ほら、メモ出して、メモ」
むしろ一番初めから何もかもを間違えていると、そう言った方がより精確なのではないだろうか。そもそもの性格の相性とか、少女に対する少年の態度とか、少年の人の話を聞かない話の進め方だとか、諸々の問題があることを、しかし少年は理解していない。いや、意図的に理解していない風を装っているのだろうか。
むしろわざとうまくいかないように展開をコントロールしていると言っても、そこまでの違和感を覚えることはないだろう。
「今日の良かったところと良くなかったところ、自分で三つずつ書いて。五分もいらないよね、はい、よーいどん!」
「ふっ…、ざけんじゃないわよ!! あんた何様!? あたしのことコケにしてんの!?」
少女は彼の言葉に、青筋を立てて椅子を蹴って立ち上がる。今にも火を吐き出しそうなほどに、見るからに怒っているらしいことだけは確かだった。目の前の男の口ぶりが気に入らないと、全身全霊をもってして伝えようとしているかというほどの勢いがあった。
「もう、冗談もたいがいにしてほしいわね! なんでこのあたしが! このステイツのエースオブエースが! サポートなんていなくても、何十機ものクソッタレどもを吹き飛ばしてきたあたしが!! あんたみたいな凡人の指図なんて受けないといけないのよ!!」
お荷物が、偉そうに口きいてんじゃないわよ!! 少女は、テーブルに置かれた氷の浮いた水のグラスを取ると、その中身を少年の顔に向かってぶちまける。
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