仕事を求めて

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 空に円盤が浮かんでいた。始めの内は、見間違いや幻覚なのだろうと思い、誰も気にもとめようとしなかった。なにせ、円盤などSF小説や映画でしかみないような代物が現実に現れるなど、有り得ないから。  けれど、それは錯覚でもなければ幻覚でもない。正真正銘、本物の円盤なのだ。本物だと気付いた時は手遅れ、円盤が都会の真ん中に着地してしまった後のことだ。  それでも、まだ現実離れしたその光景に、人々の危機感は沸いてこなかった。警官も現場にいたが、呆然として署に連絡をするのを忘れていた。いや、この場合、仮に連絡を入れることができたとしても、「ふざけるな」と言われ一蹴されていたことだろう。それだけ、円盤など人の頭の中でしか存在することが許されない、非日常的な存在なのである。  とにかく、円盤が降り立ち出入り口が開いたというのに軍隊どころか、警官隊ですら集合できていない状況であった。現場は異様に静かで、熱気を帯びていたのは野次馬と偶然、居合わせたマスコミぐらいである。 「皆さん、ごらんください!円盤です!円盤が我々の目の前にあります。なにかの冗談かとお思いでしょうが、違います!これは、現実です!現実に円盤が現れたのです!」  規制線が張られていないのをいいことに、レポーターは鼻息を荒く間近でカメラを回せながら、今の様子を報じている。  大統領もこの放送を見て、初めて円盤が都会に現れたことを知ることになる。こうも、あっさり、都会の真ん中に円盤が現れたことに、国の防衛はどうなっているのだと憤慨してたが、そんなことを言っている場合ではなかった。 「何者か知らないが、我が国の領土に侵入した。つまり、彼らは不法入国者だ。直ちに捕まえろ!」  大統領命令が下るも、全ては後々の対応であった。  しかし、そんな政府の不手際など、誰も気にも止めなかった。何故なら、初めて本物の円盤というを目にすることができた。未知への憧れというのだろうか。きっと、この中には宇宙人がいるはずだ。子供だけでなく大人の中にも妙な期待をしている者もいた。
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