仕事を求めて

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 当初、警戒されていたロボットによって地球人の仕事が奪われるのではないかという懸念は、すぐに払拭されることになった。なにせ、彼らは万能なのだ。どんなことで出来たし、モノを造ることもできた。地球にあるものからないものまで。地球に材料がないことをが分かると、自分達が乗ってきた円盤に乗って宇宙にまでいって、材料を手に入れてきてくれる。ロボットは仕事という長年の呪縛を全て取り払ってくれたのだ。  時間を気にすることなく自由に生活できる時代がどれだけ素晴らしいことであるのか。仕事から解放された人々は各々が一体ずつロボットを持つようになり生活を営むようになった。どんな仕事も全て、ロボットがやってくれる。命を削るような真似は二度としなくてもいいのだ。  誰もが心は穏やかになり、争いごとが消えた。争いが起こるのは、相手より上に行こうとする競争社会の原理が生んだこと。全ての益が平等に人々へと配られるようになり、みんなが同じで豊かに生活ができるのだ。  ある国の大臣はロボットに命じて地球の環境をよくさせた。ロボットは指示に従って仕事をこなした。人の手なら何十年も掛かるような地球の環境をよくする作業は、ロボットの手に掛かれば数日の内に終了してしまう。  全ては円滑に進んだ。これも、全てロボットのおかげなのだ。始めは、ロボットを毛嫌いしていた人達も、その優秀さに引かれ、次第に心を許すようになった。  ロボットが地球にやってきて何年が経っただろうか。一年、二年、三年と始めの内は喜び、地球の全てが毎日、お祭りのように賑わっていた。けれど、四年目に入ると人々の気分は落ち着かなくなってきた。  自由な時間というのは素晴らしい。だが、自由すぎるのが問題になっていた。もう殆どの遊びはやり尽くしてしまい、何をやっても面白さというのを感じられなかった。酒を飲んでも気分は紛れることはない。むしろ、心の中のモヤモヤは増す一方で、酒も美味しくない。
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