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原因は分かっていた。自由な時間というのは、仕事をしているからこそ、有り難いものなのだ。それらを取り払われてしまった人生など、退屈なだけ。蛇の生殺しもいいところだ。
楽しいだけの人生に飽きた人々は、余っている仕事はないかと閉鎖しかかった職業安定所に足を運ぶも、受付のロボットは言う。
「残念ですが、求人募集はありません」
「そんな!どうしてですか!」
「どうしても仰られますが、理由はご存じのはずです。ロボットは半永久的にタダで働くことができます。それに比べて、効率が悪く金が掛かるだけの人間など誰が雇うの言いますか。この職業安定所だって、明日にも取り壊される予定で、私がそれを担当する予定でいます。よろしければ、建物を取り壊したあと、皆様のゲームのお相手でもしましょうか?」
誰もが首を横に振る。もう遊び疲れた。いい加減、そろそろ、仕事を人類に返してほしいぐらいだ。
ロボットに悪気はない。彼らだって、仕事を求めて地球にやってきた。それを雇ったのが他でもない人類なのだ。
ロボットを追い出せば、問題は一挙に解決することだろう。しかし、人類は楽というのを覚えてしまった。元の生活に戻ろうと、仕事の効率は今までよりずっと落ちることだろう。結果、産業は寂れ、地球は滅んでしまうかもしれない。実に嫌な葛藤に人々は悩まされた。
「次の仕事は?」
このような状況でも、ロボットは人に仕事を求めてくる。
「なあ、何かいい仕事はないか?」
あまりの退屈に人は逆にロボットに聞いてしまう始末である。すると、ロボットは答えてくれた。
「一つ、良い方法があります。私達の円盤に乗って、私達の故郷である星に仕事を探しにいけばいいのです。きっと、今頃は仲間のロボットが寿命を向かえている頃でしょう。少しでも人手がいれば、故郷の星の人達は喜びます。ただ、まともな労働条件で雇ってもられると思えませんが・・・」
「それでも、構わない。この星で堕落して生きていくより、その星で奴隷として生きていった方が、ずっとマシだ!」
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