信じるモノは救われる

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人、一人いなくなっただけで、部屋の涼しさが増した気がした。 しかし、戻った彼女は暑がるだろう。 冷え冷えの素麺を思うと身震いするが、設定温度を調節する。 その時、目にはテレビ画面が入っていた。 『この水は本当に体にいいんですよ』 何の気なしに、チャンネルを変える。 『先生の祈りが込められたお財布を持ったら、宝くじが当たりました!』 再び、チャンネルを変える。 『この石はぁ~、ハッピーストーンって言ってぇ~』 舌足らずな女の子に、リポーターが尋ねる。 『今、女子中高生の間で大人気なんですよね?』 もう一人の女の子が、代わりに返した。 『そうなんですよぉ~、持ってないと話についていけないよねーっ?』 『ねーっ!』 チャンネルはそのまま、リモコンにある番組表ボタンを押す。 「何だ、これ……」 どのテレビ局を見ても、胡散くさそうなタイトルばかりだ。
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