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山道の荒れたバス停。
辺りを見渡してみると、苔が道路にこびり付いてる。
人も車も、滅多に通らないのだろう。
「…ねぇ、本当に行くの?」
「なんだよ!ここまで来て怖じ気付いたか?」
「やだ。そんなわけないじゃない」
「だよな。行こうぜ」
ここに来たのは初めてだ。
だけど道はネットで調査済み。
アスファルトの道から外れ多湿で泥濘のある足を進める。
ヌチャ…ヌチョ…, ヌチャ…ヌチョ…
地に引っ張られるような足音と
後ろから恐々と付いてくる女。
木々が覆い、日が遮られ
時計は真っ昼間を指してるのに
辺りはどんどん薄暗くなっていく。
頬を掠める風が
一瞬冷たく感じて
喉が締まる。
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