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十分魅力的な若い笑顔は一時、
復讐を忘れさせたが、
立ち止まっている暇はなかった。
サニチェエートに挨拶もそこそこに、
叔父の待つ家へと入った。
ガルザニ叔父はいつものような暖かい笑顔で私を迎えてくれた。
「アッシュ。
まあゆっくりしていけ」
叔父の言葉はもちろんありがたかったが、
私に時間はない。
単刀直入に切り出した。
「叔父さん。
どうしてもお金がいるんだ。
どうにかして、
お金を得る方法はないだろうか?
」
叔父は煙草を軽くふかすと、
心配そうに私を見た。
「お前が、
大学で法外の五貴族について調べているのは知っている。
確かに、
秋の大殺戮にはやつらが関わっているのは周知の事実だ。
お前もそれは知っているだろう。
だが、
復讐を考えるなど馬鹿げたことだ。
もっと自分の幸せを考えてはくれないか」
叔父は私の内面を驚くほど理解していた。
だが、
私の信念の固さは理解していないようだった。
必ず母の復讐を果たして初めて母は安らかに眠れるのだ。
揺るぎない意志で私はいたが、
叔父を心配させるのは本意ではなかったので、
努めて明るく言った。
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