第1章

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「叔父さん。 僕は復讐なんて考えていませんよ。 安心してください。 たしかに、 彼らが憎い。 そして、 彼らの研究をしていることも事実です。 しかし、 自分の身や叔父さんの家族、 いや僕の家族も同然の人たちを危険にさらすことはないです。 投資をしようと思いましてね」  壮年の叔父は幾分安心したように、 「それならば私が保証人になって、 お金を借りてあげよう。 いくらほどだね」 「助かります。 100万マルセルほど」  マルセルはアーリア帝国の貨幣単位で、 ゲルマンのマルクと並んで国際通貨となっていた。 決して、 この金額で足りるとは思わなかったが、 私はこれを元手に増やすしかなかった。 叔父はアルベルト銀行の友人から借りてあげようと、 言って、 一週間後に私の口座に振り込んでくれることになった。 帰り際、 サニチェエートがまた門の所で待っていた。
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