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「はい。
ビルグといいます。
私は様々な享楽をむさぼってきたのですがね。
他人になりすますという最高のスリルは味わえていないことに気付いたのです。
フィンガーマーク氏は何でも他人の指紋をうつせると聞きましたが、
本当ですか?」
サムは満面の笑みを浮かべて、
「はい。
私の主人にかかればそのようなことは可能です。
ただし、
それを行うには手が必要です。
残酷な話ですがね。
生死は問いません。
両手がいいですね。
それは御自分で用意していただかないと」
「わかります。
それはごもっともです。
しかし、
サムさん。
本当に可能だという証拠をこちらもみせてもらわなければなりません。
そうでなければ死体にしろ、
手を準備するということはリスクが高すぎる」
私は静かに、
しかし、
力をこめてささやいた。
サムはそのような言葉も想定内といった様子で、
ささやき返した。
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