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「あなたが指紋まで変えたいということは、
相手はゲルマン国の人なのでしょう?実は、
統領グニアの成りすまし事件ご存知ですか?あれはうちの主人も一枚かんでましてね」
「ということは、
フィンガーマーク氏はあの、
ガルド・イニエーブにあったことがあると?」
私は一層、
声を潜めてサムに顔を近づけた。
サムも顔を近づけて、
やはり小声で言う。
「ビルグさん。
その名前だけは出しちゃいけません。
法外の五貴族の怖さはむしろあなた方よりも法外の人間こそ、
知っているのですよ」
サムの顔には怯えの色が濃く漂っている。
なるほど、
と私は思った。
とにかく、
この男は何か知っていると確信した。
そして、
前もって準備しておいた超小型のゲルマン製の発信器を自分のコップの中に入れると、
セレブの間で流行っていた親愛の証として口をつけたコップの飲み物を相手に半分飲ませるという行為をするふうを装って、
サムに超小型発信器を飲ませた。
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