第1章

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 最初、 追跡は順調だったが、 発信器が体内にとどまる時間までに、 相手の居所を掴まなければならないという焦りもあった。 サムの信号はサルガッソーのある別荘地帯まで来ると、 動かなくなった。 高級別荘地は一軒が広い敷地を持っているので、 サムのとどまっている別荘地の番地はすぐにわかった。 その辺りを散歩をするように、 歩いたが、 門以外の壁の上部には有刺鉄線が張りめぐらされていた。 さて、 どうしたものか、 と思案に暮れていると、 ふいに声をかけられた。 「何をしているのだね。 若いの」  人相の悪い、 男がこっちを見て聞いてきた。
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