第1章

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「いやあ、 散歩をしていたら道に迷ってしまってね」  私は平然として言うと、 男は低い声で脅かした。 「ここはアルバタール・ギンガジザス様のお屋敷だ。 用がないならさっさと帰れ」  アルバタールという名前はフィンガーマーク氏の名前と一致する。 私はまたもや、 何か仕組まれたような作為を感じたが、 逆にいえばこれは情報を聞き出すチャンスでもあった。 「ギンガジザス様?何をしている方だね?私は鉄鋼王デニス・オノエーブラの四男ビルグ・オノエーブラだ」  私は早速この偽名の効果を確かめる機会を得た。 アーリア帝国の鉄鋼産業界の巨人オノエーブラ家を簡単にあしらうわけにはいくまい。 案の定、 男は慣れていない笑顔で、
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