第1章

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何故か人が死んでいった。 まもなく母も凶弾に倒れた。 私は母の身体のぬくもりが消えていくまで、 ずっと母にすがって泣いていた。 そして、 いつの間にか泣きつかれて、 寝てしまっていた。 気付いた時には戦いは終わり、 母の冷たい亡骸がそこにはあるだけだった。 かくして、 私は秋の大殺戮(オータム・バルバロッサ)の数少ない生き残りとなった。 ガルザニ叔父は私がそのことを告げると、 法外の五貴族(アシュランテ)のことを私に教えた。 私は復讐を誓った。 だが、 彼らの素性は謎に包まれていた。 誰もが復讐を恐れて、 口を閉ざしていた。 ただ、 犯罪を犯す時、 彼らの悪業は大体的に宣伝されるのだった。 私はその記事を頼りに、 五貴族のことを調べまわった。 そして、 いつの日か彼らを法の下に引っ張り出して裁きを受けさせたいと思っていた。 さらに、 もし叶わなければ自らの手で復讐を決行するつもりであった。 上級大学に進んだ私は法外の五貴族(アシュランテ)についての研究をしているふうを装って、 ついに一人の手がかりを得た。 ガルド・イニエーブだ。  これから、 このイニエーブとの熾烈な戦いを語りたいと思う。 かくして26の夏、 私の復讐劇は始まった。
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