第1章

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 ガルド・イニエーブは法外の五貴族の中でもっとも謎に包まれている。 だが、 真偽はさておき、 もっとも情報が人々の口からもたらされるのが彼だった。 これには、 わざと情報をもらし、 人が口々に噂するのを喜んでいるという自己顕示欲の塊であるとか様々な説がある。 謎によって彼は法外の五貴族の仲間入りをした。 彼は素性が知れないという一点によって、 国家警察の逮捕を免れてきたのだ。 グライア・シンシアのような、 絶大な権力やバルド・ゲール・アランのような知略もなく、 シャルレ・ガージマスのような狂気ももっておらず、 イポニチェ・ゴルディーザのように畏怖される存在でもなかった。 即ち、 彼には何の後ろ盾もなかった。 それでも、 史上稀にみる法外の五貴族の一員と呼ばれるようになったのは、 変装術であるといわれている。 彼はいわば、 多くの人間に成りすますことで、 数々の悪行を重ねてきた。 中でも有名なのは。 世界に並び立つ2大国、 ゲルマンとアーリア帝国の首脳会談の際、 ゲルマンの統領、 グニア・レンズブルクに成りすましていたといわれる。 ゲルマンの英雄、 ニーチェリアによって企みは露見したが、
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