第1章

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気を良くしたのか彼はますます饒舌になった。 「いいだろう。 グニア事件の話をしてやろう。 まず私が知っているのは彼の情報収集能力の高さだな。 本来なら機密にもなるだろう統領の癖にいたるまでを詳細に調べて演じていたのだからな。 そして、 奇怪なのは彼がいつ統領と入れ替わったのか今をもってしても謎ということだ。 国の中にイニエーブの協力者が潜んでいたのだろう。 ということになっているが、 どうも腑に落ちないのだよ」  私はニーチェリア元大佐の長いお喋りに幾分うんざりしながら、 辛抱強く有益な情報を聞き出すチャンスを待っていた。 そして、 話がひと段落した時、 すかさず訊ねた。
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