六月の鈍色

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  それからいつもの生存報告をする。 僕にはもうこれくらいしか生きる価値がない。 僕はもう一年もしないうちに外を歩けなくなる。 二十歳までは生きられない。 そんな爆弾を心臓に抱えている。血のめぐりが悪いせいか、最近は少し顔も青黒くむくんで来てしまった。 「あとは、そうだ。お昼は今日も鞄の中の弁当を独りで食べた。美味しかった」 見境なく向けられる同情の眼差しに嫌気がさして、僕は通っていた隣町の高校から地元の高校に編入した。 それから、今日まで友達は作っていない。 辺りには僕らのビニール傘を叩く雨音だけがこだましていた。 雨粒が縦縞になって、向かいの家屋を霞ませている。 僕の身体の事は、でも、彼女にだけは話してあった。 その時もやっぱりぼんやりと顔を上げたまま、身じろぎひとつしなかったけど。 同情をもらうのは嫌だけど、同情さえもらえないのはもっと寂しいんだと思い知った。  
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