第1章

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夢を見た。 青くて広い空を飛ぶ夢。 わたの背中には真っ白な純白の羽根があって、思うがままに空を飛んでいた。 白い入道雲を突き抜けて、辿り着いた先は真っ青な空。 あまりにも空が綺麗過ぎて、私は泣いた。 声をあげて泣いた。 子供のように純真な涙を流し、心から泣いた。 感動して泣いていたはずなのに。 いつのまにか、私は怖くなっていた。 いつか……この空を見れなくなる日がくると思うと怖い。 この身が朽ちて、忘れられるのが怖い。 今日のこの美しくて綺麗な『今』の空を見れなくなるのが……とても怖い。 老いいるこの身が恨めしい。 老いが怖い。 『今』がずっと続けばいいのに……。 不確かな時間より、確かな『今』の時間が続けばいいのに。 『今』が、刹那に過ぎていく『今』が愛しいのに、『今』は常に続いているのに。 『今』の『今』は、もう違う『今』になってる。 願わくば、『今』が私の望む『今』でありますよに。
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