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「ざつ・・・佐藤さん。
ようやく出勤ですか。
ご苦労さま」
ガードマンの一人は言った。
鼻が微妙によじれた男だった。
もう一人の男
が弥生をじろじろと見た。
弥生は二人の存在をまるで無視している。
「佐藤さん。
この女性どなたですか?外部の人を入れるには前もって連絡し
てほしいんですけどね」
「彼女はここに残る」僕は当然のことのように言った。
だが、
彼女は僕とと
もにエレベーターまで進む。
ガードマンは止めようと弥生の肩に触れた。
肩
は紛れもなく、
掴まれていた。
新太は声をあげる。
ガードマンの肩がいびつ
に(彼の鼻のように)曲がっていたからだ。
もう一人が傷ついた男に駆け寄
る。
弥生は既にエレベーターに乗り込んでいた。
「行くわよ」弥生の声は短
かったが、
意志のこもった声量だった。
少なくとも、
この世界のどんな人間
よりも。
新太はエレベーターに乗り込むと、
6階を押した。
そこが新太の定
位置だった。
普段は倉庫として物品が置かれていたが、
倉庫の中に一つ机が
混じっている。
新太のワークデスクである。
数ヶ月前に仕事を終えたままに
なっている表面を見ると、
側に誰か立っているのに気づいた。
弥生はこの階
に入った時から気づいていたらしい。
じっと、
一点を見つめ、
その先には髑
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