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「ようこそ、僕のセカイへ」
“僕”は黒を纏っていた。
黒いシルクハットには、メタリックなドクロが、相当な“人骨”密度で側面を覆い、黒い革靴はとげだらけで、棍棒のようだ。
スーツは闇に馴染むほど平らで真っ黒、シャツもタイも手袋さえ黒。
光の円さえなければ、首から上だけが彷徨っているように見える。
「赤いゲートをくぐったね?」
やはりあの“赤”はこの世界への口だったのか。
そして、“僕”はそれを見ていた。
わたし以外は闇の一部だったから、どこかで見ていてもわからない。
誇らしげな色が黒から滲み出ている。
顔を見る限り、人間。
体を見ても人間。
ただ、“僕”は……
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