ようこそ、僕のセカイへ

7/10
前へ
/20ページ
次へ
 「ようこそ、僕のセカイへ」  “僕”は黒を纏っていた。  黒いシルクハットには、メタリックなドクロが、相当な“人骨”密度で側面を覆い、黒い革靴はとげだらけで、棍棒のようだ。  スーツは闇に馴染むほど平らで真っ黒、シャツもタイも手袋さえ黒。  光の円さえなければ、首から上だけが彷徨っているように見える。 「赤いゲートをくぐったね?」  やはりあの“赤”はこの世界への口だったのか。  そして、“僕”はそれを見ていた。  わたし以外は闇の一部だったから、どこかで見ていてもわからない。  誇らしげな色が黒から滲み出ている。  顔を見る限り、人間。  体を見ても人間。  ただ、“僕”は…… .
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加