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星野かほりさん、と、思しき麗人が優雅にティーカップを口に運んでいるし、
ひなたさん、と、思しき絵描き職人は、震える両手両足をフルに使って描いているし、
詠波さん、と思しき詩人は髪を振り回しながらも思想の底から言の葉をさらっとしているし、
流星さん、と思しきマルチナディアな才人が写真を撮りながらも、イラストに色づけしているし、
これが修羅場からの逃亡生活かと思った。
唯一すいていた手を差し伸べてくれたのは、たった今帰って来た
鈴木るかさん、だった。
しかも、ありがたい事に48人ものマリオネットを思わせる従順なボランティアが修羅場に現れたからだ。
そこで、鈴木るかさんにこの状況を説明してもらった。
どうやら此処で会ったメンバーに最後のお手伝いを頼んだらしい。
かほり氏が何にも言わない内に、全てが行われるらしい。
このぎおん祭り☆サークルには、不思議な魅力があるらしい。
結局、最後の一人に聞いても泉之 幸野の行方は解らなかった。
この私を除いては、
その時、携帯がGメン75の歌を奏でた。
「はい、そうか本乃探偵か。
それでどうだった?
分かった。
ああ、借りて置くよ」
「泉乃車を停めろ!」
「本乃探偵からの報告に拠れば、携帯から証拠が挙がったぞ。
泉乃 幸君、いや、泉*幸君、それとも、泉乃 幸野と呼んだ方がいいのかな!」
「先輩!……」
「趣味を持つのはいいが警官としての本分を忘れるな!
泉乃 幸君」
「すみませんでした!
先輩!」
「ほら、帰るぞ」
「はい、小林先輩!」
――完――
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