第1章

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【崖っぷちのプチ】という演目である。 勿論、これは新作である。 察仁亭三水くんが師匠譲りの創作センスにより、考えに考え抜いた噺である。 「人魚ってぇと、これは西洋の怪獣として有名でございます。 えぇ、ですがこいつを色々と調べて見ますと日本の文献にも出て参ります。 江戸時代の絵巻によりますと、上半身が猿で下半身が鮭だった。なんと言うこれまた醜悪な妖怪として描かれておりますが…これはある北の地方で聞いた言い伝えを元にしたお噺でございまして…。」 察仁亭三水が羽織りを脱ぐ。 「何だこやつは、 ちっこいのう。」 「プチ、プチぎゃ?!!ワシは、プチぎゃ??!!」 「醜い顔じゃな。 人語を話すか、何だか気色悪いし今後の話しが厄介になりそうだ。 やはり海に帰すか…。」 「ま、待つぎゃ?!!プチ、ソウジュウロウの事好きぎゃ??!!願いを叶えてやるぎゃ?!!」 「開始早々急展開過ぎるぞお主…。」
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