第1章

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大きな白い花が、K市の空、陸奥屋の空を覆った。 ミニSLから降りた子供たち、特設会場横で笑う陸奥屋の社員たち、かつて空中庭園と呼ばれた場所に集うすべての人々を、夜空に開いた様々な色の花火が照らす。 「ずいぶんと借金を作ってしまいました。僕たちの関係も、今日で終わりにしましょう」 「そんな‥‥」 「きみに苦労をかけるわけにはいきませんよ‥‥」 花火の音で、下柳の声がかき消される。 ひときわ鮮やかな青色の花火が、めぐみの頬を伝う涙を、同じ色に染めている。
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