第1章

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うちの学園は2人以上なら『同好会』として認められ、申請が通れば活動拠点となる部室を持つ事が出来る。 更に部員数が5人以上になると『部』に昇格。 活動資金となる部費が支給してもらえるのだ。 それは裏を返すと、部員数が5名以下になった時点で同好会への降格を意味する。 ましてや俺しか所属していないこのサークルは、同好会ですらなくなった訳で、先輩たちが卒業した時点で、近い内に部室から追い出される事は覚悟していた。 しかし、いくらなんでも早すぎる。 「ちょっと待てよ副会長、先輩たちが卒業したのは今日だぞ今日。せめて4月過ぎまで猶予すんのが普通じゃないのか?」 4月まで待てば、新入生が入学してくる。 どれだけニッチなサークルでも、入部希望者の1人や2人居ても良いはずだ。 「それは『普通に活動しているまともなサークル』に許された事だ。それに引き換え、このオカルトサークルはどうだい?」 「うちは『学園探索部』だ。オカ研といっしょにすんな」 「似たようなものだろう。部費に含まれる使途不明金に、不明確な活動実体。むしろコレまでの寛大な処置に感謝してもらいたい」 「部員数が少なかったり、部費が使途不明なのは他の部でも言えんだろ。活動に関してはお前ら執行部が邪魔すっからだ」 「『邪魔』とは心外だな。知っての通り、我等が学び舎は旧地球防衛軍の基地を改修して作られている。その一部には当時のままの区画が残っていて、我々生徒会、諸先生方ですら把握できていない場所も少なくは無い。執行部は、立ち入り禁止区画ばかり入り込む、素行が悪い生徒を諭していただけだ」 「だから、その解らない部分を解明するのが探索部の活動なんだって言ってんだろ! こっちはそれでも頑張って、毎月レポートも提出して来たんだ」 学園探索部は、軍事施設であったこの学園を調査し、その全容を究明する目的で結成された開校当時から存在する古参の団体だ。 しかし探索部は先程唐久多が指摘したような活動が多く、執行部からは目をつけられている。 何かにつけて因縁を吹っかけられ、今のような押し問答を、どれだけ繰り返してきたことか。 「確かにレポートは規約どおり提出されていた。…しかしだ、その内容が本物だという証拠はどこにある? 嘘を書いて誤魔化す事なら、小学生の絵日記のように誰にでも出来る。…まぁ、僕はやったことないがね?」 後半にやけに力が篭っていた気が、こいつ、やったことあるのか?
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