17人が本棚に入れています
本棚に追加
「はい、ヤスオ君出来たわよ。」
お姉さんの声は舞そっくりで、一瞬ビクッとしてしまう。
リボンで作られた花で飾られたその箱は、グラスが入っているとは思えない位に可愛く彩られていた。
「紙袋に入れておくね。」
お姉さんはお店のロゴが入った袋に優しく箱を入れてくれた。
「お姉さん、ありがとうございました。」
僕は袋を受けとると、お姉さんに手を振って店を出た。
実は、舞にはシャンパングラス以外にもプレゼントを考えていた。
サプライズのプレゼントだ。
本当は花束にしようと思っていたのだが、花束なんて恥ずかしくて買えなかったから写真立てを買った。
白の額縁にピンクや黄色の立体的な花がデコレーションされていて、花束の代わりと言っても納得してくれそうな物だった。
『男1人で雑貨屋なんて恥ずかしかったんじゃない?』
舞の照れ隠しの言葉が目に浮かぶ。
店員にラッピングしてもらっている間、ニタニタと笑っている自分に気が付いて、わざとらしい咳払いをして誤魔化した。
最初のコメントを投稿しよう!