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「ただいまー」
僕はアパートのドアを開けてダイニングのテーブルにケーキを置くと、ダイニングの奥にある6畳間に向かった。
舞はいつもの笑顔で僕を迎えてくれた。
「舞、朝も言ったけど、誕生日おめでとう」
僕はそう言って舞の遺影にキスをした。
舞は1週間前、いやもう2週間経っているのか。
交通事故で死んでしまったのだ。
不幸中の幸いは、即死だったから苦しまなかった事。
認めたくなかったが、瞬き1つしない写真、チリ1つ動かない部屋、暗くなっても文句1つ言わない舞に気付く度に、舞はこの世にいない事を思い知らされる。
「ほら、外は真っ暗だよ。」
舞に語りかけながら、舞の写真を写真立てから外し、買ったばかりの写真立てに移し変えた。
サプライズプレゼントの写真立ては、昔から決まっていたイベントの様に舞の遺影を飾った。
「花束みたいだろ?
男1人で小物の店に入るのは恥ずかしかったんだぜ?」
舞が言うはずの言葉を代わりに口にした。
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